納戸のあかり

2005.7.9.・宮崎県民家園




・・・・・人ノ気うせた藁葺家(わらぶきや)

・・・・・足をとめ、目線の先に、追憶ぞ、人恋しげに、そろ動きだす

・・・・・庭先を、ヒナ引きつれて、めんどりの、夏の朝あけ、コッコッとなつかし

・・・・・長雨けぶる馬小屋に、青よカイバに余念なく、ひたすら夏にそなえおる

・・・・・田植おえ、小雨シトシト、音する日、百姓家にも、静寂(しじま)ただよう

・・・・・雨ひより、真昼(ひる)の明かりぞ、澄みわたり、白き障子に、心うつれり

・・・・・タタミの折り目、足裏に、温もり伝う、納戸の間、祖母の姿が、浮かびおり

・・・‥雨の夕暮れ、おもてには、祖父のキセルを、たたく音、霞のごとく、たなびきて

・・・・・雨やみて、柿木の葉に、一つぶの、真珠のごとき、水玉とまり

・・・・・今は人ッ気うせた藁葺家、真昼の明かりが古にいざなう